黒人の発声法

注意1)このサイトにリンクしている動画はSafariでは「動画を再生できません」と表示される動画が幾つかあります。

その場合は「YouTubeで見る」をクリックすると再生出来ます。Google Chromeであれば全動画をダイレクトに再生出来ます。

注意2)Naoya Moroが日本語表記にした発声法は、全てアメリカではちゃんとした練習方法のある一般的なテクニックです。ネイゾルの様に名称が日本で広まった事は光栄なのですが、同業者の方はNaoya Moroが日本語表記にした発声法の名称を使う時は、必ずNaoya Moroが英語の名称から日本語表記にしたと明記してください。

チェストボイス 地声

ファルセット(ヘッドボイス) 裏声

ミックスボイス 地声と裏声のミックスでアメリカでは当たり前な発声法で、洋楽を歌う為にはマスター必須。

 動画は19世紀に、黒人が初めて世界的に音楽で成功したフィスク・ジュビリー・シンガーズの近年のメンバーでのミックスボイスです。

 フィスク・ジュビリー・シンガーズはフィスク大学の合唱部の様なグループで、伝統のあるグループです。

 この曲はゴスペルのルーツの黒人霊歌の有名な曲です。

 ミックスボイスだけで歌うとクラシックのオペラの様な声ですので、

R&Bシンガーはミックスボイスにネイゾルやマウスレゾナンスを加えて声作りをします。ラッパーも同様です。

喉声 ミックスボイスは明治維新の後にクラシック音楽の普及と共に日本に入って来て決して新しい発声法ではないが、日本でポップカルチャーが炸裂した1980年代に喉声で歌うポップシンガーが増えて、一時期J-Popでミックスボイスはあまり使われなくなり、今ではミックスボイスは新しい発声法だと勘違いされている。喉声は素人の歌声、ミックスボイスがプロの歌声だと言っても過言ではない。

ネイゾル 元は黒人シンガーが使う鼻を使った発声法で、3種類あり、今では世界中のポップミュージックで普及している。

注意)ネイゾルは今は無きTriple M music art Classの旧ホームページで、それまでは日本ではナーサルというカタカナ表記だったが、2000年代にNaoya Moroが英語に近い発音のネイゾルというカタカナの日本語表記にした。

 このアリシア・キーズのPVは、冬に外で歌っていますので息が白く、アリシアが歌っている時に口からも息は出ていますが、鼻からも息が出ているのが解ります。これがネイゾルです。

シャウト(トランペット) 3種類のネイゾルの一つ。主にR&Bシンガーとゴスペルシンガーが使う。シャウトは文字通りがなる様な声。しかし別名トランペットと名付けた様に、ジャズではシャウトと同じ原理の発声法で、トランペットの様な声色で、ジャジーな声作りに多用される。またヒップホップ/ラップでもシャウトと同じ原理の発声法で、ニッキー・ミナージュの様に舐めきった様な声作りの時に使われる。日本では声帯でシャウトするシンガーも多いが、声を潰すので避けた方が良い。

 シャウトの歴史は古く、R&Bでは1960年代のサザンソウルで多用され、現在に至っています。

 ブルースやジャズ、ゴスペルではもっと昔から使われていました。

 動画はJodeciのK-Ciのシャウトと、私のサザンソウル風のシャウトの音源です。

ウィスパーボイス(ストリングス) 3種類のネイゾルの一つ。シャウト同様に声帯でウィスパーボイスを出す事も可能で、文字通り囁く様な可愛らしい声作りから、別名ストリングスと名付けた様にオーケストラのストリングス(弦楽器)の様な声色で、大きな声でのハスキーな声作りも出来る。ウィスパーボイスはシャウトとは違い、声帯で発声しても喉を痛めないが、黒人シンガーはネイゾルのウィスパーを使う。

 ウィスパーの歴史も古く、女性R&Bトリオのエモーショズの1960年代の曲にまで辿り着きます。

 ジャズではもっと昔から使われていました。

 動画はウィスパーを多用しているドージャ・キャットと、私が1コーラス目のラップの2箇所だけ女性の様な声でウィスパーを使った音源です。

ソウルフルボイス(クライング) 3種類のネイゾルの一つ。アリシア・キーズは主にクライングを使っているが、ハスキーな声はウィスパーボイスと組み合わせている。ソウルフルボイスは文字通りソウルフルな声作りから、別名クライングと名付けた様に泣き声自体はこもっているが、歌で使うと透き通った非常にクリアな声色ながらに、ピーボ・ブライソンの様なサックスの様なパワーのある声作りや、ミニー・リパートンの様なフルートの様に可愛らしく繊細な声作りも出来る。またエモーショナルな歌唱表現も出来る。またK-Ciはシャウトとクライングを組み合わせている。

この様にクライングは、シャウトかウィスパーと組み合わせられて、どちらも重量感のあるパワフルな声に出来る。

尚、ソウルフルボイスはクライングに当てはまる名称がない為に曖昧な表記にした。

 クライングの歴史も古く、アメリカの黒人は話し声自体がクライングの人も多いですので、いつからとは言えません。

 ブルースやジャズ、ゴスペルではもっと昔から使われていました。

 動画はボーイズIIメンと、私が3コーラス目(ブリッジ)でクライングで歌っている音源です。

 ボーイズIIメンの曲はBメロを歌っているウォンヤ・モリスが、これがまさにクライングと言える見本的なクライングです。

注意)トランペット、ストリングス、クライングは指導する際に解りやすい様にNaoya Moroが2010年代に名付けた。

マウスレゾナンス 元はアフリカの発声法で、アメリカのR&Bシンガーやゴスペルシンガー、またカリブのジャマイカのレゲエシンガーも使う。アメリカでは1960年代〜1970年代に南部のサザンソウルのシンガーを中心に流行り、その後ファンクやディスコミュージックでも流行り、1990年代初頭にディスコブームの終わりと共に一時期廃れたが、ヒップホップソウルでは異例の歌い方のTLCのT-ボズを除けば殆ど使われなかった。しかし2000年代にカリブ出身のリアーナがデビューし、当時はアメリカでは異質な存在だったが、2010年代後半、特に2020年代にアメリカでリアーナのフォロワー達によって復活した。尚、レゲエが誕生したカリブではリアーナの声は異質ではなかった。アメリカのマウスレゾナンスと、カリブのマウスレゾナンスは声色は異なるが、元はアフリカの発声法という共通点がある。リアーナはネイゾルとマウスレゾナンスを組み合わせている。

尚、ノーザンソウルでもスティーヴィー・ワンダーは時代に関係なくマウスレゾナンスを使っている。そして同じくモータウンのマーヴィン・ゲイも同様にマウスレゾナンスを得意としていた。やはりモータウン出身のマイケル・ジャクソンはシャウト等のネイゾルも多用するが、基本はマウスレゾナンス。という様にサザンソウルに限られた発声法ではない。

上記はマウスレゾナンス主体の歌唱のシンガーの大雑把な例で、例えばヒップホップソウル登場前のニュージャックスウィングでは、ファンキーな曲ではマウスレゾナンスは多用されていた。代表的なシンガーにボビー・ブラウン等が挙げられる。

ルーツのアフリカの発声の為に、ヒップホップソウルでもネイゾル主体ながらにもマウスレゾナンスも部分的に使われていた。またT-ボズは分かり易いので例に挙げているが、当時もT-ボズ以外にもマウスレゾナンス主体のシンガーは少数派だがいた。

ヒップホップソウル登場以降で、ネイゾルとマウスレゾナンスを組み合わせていたシンガーでは、ビヨンセ等が挙げられる。

男性で言えば、2000年代でもクリス・ブラウンはマウスレゾナンス主体の発声で歌っていた。よってクリス・ブラウンに影響を受けたシンガーはマウスレゾナンスを使っている。

今の男性シンガーは、ザ・ウィークエンドを例に挙げればネイゾルとマウスレゾナンスを使っている。

ラッパーの発声に関しては、ネイゾル主体のラッパーが多いながらに、マウスレゾナンス主体のラッパーも多い。

マウスレゾナンス主体のラッパーはQティップ、スヌープ・ドッグ、リル・ナズ・X等が挙げられる。

ジャンルではニューオリンズ等のダーティ・サウスは、シャウトとマウスレゾナンスを組み合わせたラッパーが多い。

 マウスはアメリカの黒人のルーツのアフリカの発声ですので当然歴史は古く、いつから使われているとも言えません。

 ブルースやジャズ、ゴスペルではもっと昔から使われていました。

 R&Bでは元祖ソウルマンのサム・クック、その後はサザンソウルのオーティス・レディング、モータウンのスティーヴィー・ワンダー等がルーツに挙げられます。またアフリカ的なマウスレゾナンスは、アフリカ人の声より大分スウィートな声になっていますが、アイズレー・ブラザーズやネヴィル・ブラザーズが良い参考となります。

 動画はカリブのマウスレゾナンスを使っているリアーナと、アフリカ風のマウスレゾナンスを使っている私の音源です。

 下の音源はケニアのマサイ族がマウスレゾナンスで歌っている伝統音楽です。

注意)マウスレゾナンスは今は無きTriple M music art Classの旧ホームページで、2000年代にNaoya Moroが英語からカタカナの日本語表記にした。

サポート 歌う時に横腹の筋肉を使うテクニック。サポートを使うことで歌い出しのインパクトが増し、アクセントも強調される。特にハモりの出だしにはサポートを使うとハウーンという様な、完全にハモった時のみに出る特有の共鳴した音が鳴る。解りやすく言えばピアノのタッチを歌で表現する様なテクニックで、マスターする事で歌が際立ち、プロ的な歌唱になる。簡単に説明をするとサポートを使わないのは喋り声、サポートを使ったのが歌声。

注意)サポートは英語で横腹の筋肉のサポートマッスルを使うという意味の略で、サポートは今は無きTriple M music art Classの旧ホームページで、2000年代にNaoya Moroが英語からカタカナの日本語表記にした。文字通り解説するとサポートマッスルの略という意味のサポートという名称だが、実際は横隔膜が下がる事で横腹が出っ張るテクニック。

ベルティングボイス 元はイタリアの発声法で、地声で高い音域が出せるクラシックのベルカント。主にオペラ歌手やゴスペルシンガーが使うテクニックだが、ポップミュージックでもよく使われる。殆どの熱唱系R&Bシンガーはゴスペル歌唱を用いて、高い音域はファルセットはあまり使わずに、ミックスボイスとベルティングを組み合わせている。

解りやすく「地声で高い音域が出せる」と書いたが、R&Bやゴスペルでは、いわゆる地声は使わない為に、正確には裏声ではなくミックスボイスで高い音域が出せるという意味。

注意)ベルティングボイスとベルトボイスは全く同じテクニック。ベルカントとベルティングもほぼ同様のテクニック。ポップミュージックでベルカントを使ったのがベルティングだと言っても間違いではない。

 動画はゴスペルシンガーのスモーキー・ノーフルのベルティングを多用した歌唱と、私が若干ベルティングを使って歌った音源です。

レンジ レンジは歌で使える音域。トレーニングをする事で低音、高音共に歌で使える音域を広げる事が可能。トレーニングをする事で女性でもアカペラのベースシンガーが出来る程の低音が出せて、地声での高音はベルティングをマスターする事で歌で使えるレンジを広げられる。この様にトレーニングをすれば低音、高音共に歌で使えるレンジを広げる事が出来て、より幅広い楽曲、またより高度な楽曲を歌える様になる。

ホイッスルボイス 女性のみが出る超音波の様な超高音。指導経験上、女性の5人に1人はマライア・キャリー自身が子供の時に偶然にホイッスルボイスが出た時の再現ビデオを基にした練習法で出る様になる。

 動画はホイッスルと言えばマライア。マライアのホイッスルと言えばこの曲です。

 色々な発声法を紹介しましたが、ミックスボイスの説明の際に書いた様に、基本は喉はミックスボイスで、それにネイゾルやマウスレゾナンスを加えて黒人のR&Bシンガー、ゴスペルシンガー、ラッパーは声作りをしています。

 ラッパーの声作りについてはあまり解説はしていませんが、基本は上記の発声法の組み合わせで、殆どのラッパーの声作りは説明出来ます。

 この様に発声をマスターするにはブラックミュージックの歴史を知らなければ、実際に曲を歌う際でのテクニックの使い方はマスター出来ません。

「ブラックミュージックの歴史」のページではPVやライブ動画と説明文で詳しく紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。

白人の発声法との違い

白人のポップシンガーは、声をハスキーにするのに、ネイゾルのウィスパーではなく喉でウィスパーを使う場合が多いです。

つまりミックスボイスですが、かすれたミックスボイスという事です。

黒人シンガーは喉は常にクリアなミックスボイスを使い、声をハスキーにする時はネイゾルのウィスパーを使います。

白人と黒人の発声法はこの様に基礎が異なるのです。

もちろんミックスボイスは西洋のクラシックにルーツがあり、白人のオペラシンガーのミックスボイスはクリアですが、白人のポップシンガーとなると喉でハスキーにする為に、ミックスボイスをかすれさすという傾向があります。

動画では白人でもR&B寄りのブリトニー・スピアーズとジャスティン・ビーバーの曲を例に挙げます。

ブラックミュージック研究所が主催する、オンライン音楽教室のTriple M music art Classでは、

Mo's "MOZ" MoことNaoya Moroの指導によって、このページに書いてある全ての発声法を学んで頂く事が出来ます。

ビデオ通話でのオンラインレッスンですので全国どこでも受講可能です(プライベートレッスン)

詳しくは「レッスン」のページをご覧ください。

またオンラインレッスンの参考資料動画も貼っていますので、ぜひご視聴ください。

オンラインレッスン 参考資料動画