ニュー・ソウルの革命的なマウスレゾナンス

 さて、ニュー・ソウルの革命的なマウスレゾナンスを作ったのは、カーティス・メイフィールドです。

 カーティス・メイフィールドは、ダニー・ハサウェイと同じく1970年にデビューし、ダニー・ハサウェイ同様にニュー・ソウルを作りました。

 ダニー・ハサウェイは、確かに1970年代、1980年代、1990年代のR&Bシンガー達に多大な影響力がありました。

 しかしカーティス・メイフィールドは、1990年代にデビューした、ネオ・ソウルのディアンジェロ、そして2010年代にデビューした、オルタナティブR&Bのザ・ウィークエンドなどの、現代のR&Bシンガー達に多大な影響を与えています。

 カーティス・メイフィールドは、R&Bグループのインプレッションズのリードシンガーでした。

 インプレッションズは、当初はサム・クックの影響の強いグループでした。

 しかし、徐々に独自の音楽性を追求し、ニュー・ソウルの先駆け的なグループです。

 そして、この曲はキング牧師の公民権運動の最中の曲で、公民権運動を題材にしたR&Bの曲ですが、発売当初からゴスペルの曲として教会でも歌われ、現代でもR&Bシンガーやゴスペルアーティストに、よくカバーされる名曲です。

 カーティス・メイフィールドはデビュー当時は、サム・クックにそっくりな声と歌い方のシンガーでした。しかし、この曲では、パワフルな声のネイゾルのクライング主体で、元はアフリカの発声法のマウスレゾナンスを加えるという歌い方です。声が明るく聞こえるのは、明るめのトーンのマウスレゾナンスを加えているからです。

 インプレッションズは南部のテネシー州出身のグループです。そして、北部のイリノイ州シカゴのシカゴ・ソウルを代表するグループとして知られています。

 音源は1965年の曲です。


インプレッションズ

 しかし1970年にカーティス・メイフィールドはインプレッションズを脱退し、同年にソロデビューをしました。

 そしてカーティス・メイフィールドは、ダニー・ハサウェイ同様にニュー・ソウルを作りました。エレクトリックピアノ主体のダニー・ハサウェイのサウンドとは違い、カーティス・メイフィールドが作ったニュー・ソウルは、強烈な程にファンキーなベースラインとド派手なサウンドが特徴です。補足として、ダニー・ハサウェイにもベースラインがファンキーな曲はあります。

 しかし、この曲はファンキーでもド派手でもありません。この曲を選んだ理由は1995年に誕生したネオ・ソウルの先駆け的な曲だからです。

 カーティス・メイフィールドは、ニュー・ソウルのアーティストとして活躍した時期から、独自の歌唱法を確立しました。

 それは元はアフリカの発声法のマウスレゾナンスオンリーに近い声で、つぶやく様な歌声での歌唱法です。

 インプレッションズ時代にも似た歌声で歌っていますが、インプレッションズ時代は曲によって歌声が違うという技巧派で、ソロになってからこの声と歌い方に絞り、カーティス・メイフィールド特有のこの歌唱法が完成されたと言って良いでしょう。

 確かにマウスレゾナンスは、元はアフリカの発声法ですが、このマウスレゾナンスの歌声は、カーティス・メイフィールドが作った、アメリカ独自のマウスレゾナンスです。

 マウスレゾナンスは明るいトーンです。

 ファルセットに聞こえるのは、地声と裏声をミックスしたミックスボイスが、かなりファルセット寄りだからです。

 この曲を聴いて、声も歌い方もサウンドも曲もディアンジェロ?と思った人も多いと思います。

 それ程に、ディアンジェロに影響を与えたという事ですね。

 カーティス・メイフィールドは北部のイリノイ州シカゴ産まれです。

 音源は1975年の曲です。


カーティス・メイフィールド

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