黒人の発声法(ヒップホップ編)

注意1)このサイトに貼っているYouTube動画は、Safariでは「動画を再生できません」と表示される動画が多々あります。

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Androidの場合は端末のメーカーや機種によるのかもしれませんが、自身が所有するAndroidのスマホとタブレットでは、全動画をダイレクトに再生出来ます。

注意2)Naoya Moroが日本語表記にした発声法は、全てアメリカではちゃんとした練習方法のある一般的なテクニックです。ネイゾルの様に名称が日本で広まった事は光栄なのですが、同業者の方はNaoya Moroが日本語表記にした発声法の名称を使う場合は、必ずNaoya Moroが英語の名称から日本語表記にしたと明記してください。

まずシンガーの場合はボイトレのレッスンを受けるという事はポピュラーですが、そもそもラッパーにボイトレが必要なのか?

という疑問を持たれる方も多いと思います。

しかしあなたがラップを聴く時はどうでしょう?

以下に、カッコいいと思う要素を3つ挙げます。 

1)サウンドがカッコいい

2)フロウとリリックがカッコいい

3)声がカッコいい

そうです。声がかっこいいというのは、ラップを聴いてカッコいいと思う要素に入るのです。

まずはご自身が目指すラッパーの声作りの仕方を学ぶ事が早道です。生徒が課題曲に選んだラッパーの発声法の分析と声作りの仕方を指導します。または生徒の声質や目指す声に合った課題曲の選曲を講師に任せる事も出来ます。そして当教室のレッスンでは発声の応用でも、講師が選んだ洋楽のヒップホップの曲をラップしながら、それらの曲の発声法と声作りの仕方も指導します。声が良くなるのはもちろん、知識もつき、ラップのフロウも上手くなります。

リリックの書き方は、韻の踏み方(ライミング)で学べます。

理想の声に近づき、そして本物のラッパーを目指しましょう!

では、色々な発声法を紹介していきましょう!

チェストボイス 地声

ファルセット(ヘッドボイス) 裏声

ミックスボイス 地声と裏声のミックスで欧米では当たり前な発声法で、洋楽を歌う為にはマスター必須。

ミックスボイス

ゴスペル

 ミックスボイスは元は西洋のクラシック音楽の発声法ですので、ゴスペルの紹介で音源を貼ったクワイアはだいぶファンキーですが、ミックスボイスだけで歌うと当然クラシックのオペラの様な声になります。黒人ラッパーはミックスボイスに黒人特有のネイゾルやマウスレゾナンスを加えて声作りをします。R&Bシンガーも同様です。

 ゴスペルの紹介の音源のジェームス・ホールは、北部のニューヨークのブルックリン産まれのゴスペルアーティストで、音源は1997年の曲です。

 ミックスボイスの主な種類としては、

 女性の場合は、声が高くて明るいトーンのソプラノ、声が低くて暗いトーンのアルト。

 男性の場合は、声が高くて明るいトーンのテナー、声が低くて暗いトーンのバリトン。

 などの種類があり、それぞれに声の出し方は異なりますが、地声と裏声のミックスという基本は一緒です。

 しかしゴスペルクワイアの場合は、伝統的に、ソプラノ、アルト、テナーの三声の為に、バリトンパートはありません。

 よってゴスペルのテナーは高い声を出す時には、このページで後に紹介するベルティングを使い、バリトン並みに暗いトーンのミックスボイスで歌います。

 同様にソプラノがミックスボイスで高い声を出す時、アルトが暗いトーンで高い声を出す時にもベルティングを使います。

 ゴスペルではソプラノも、アルトも、テナーもミックスボイスを使います。ソプラノが「ミックスボイスで高い声」と書いたのは、高い声でも裏声ではない場合という意味です。ソプラノは裏声の様に聞こえても基本はミックスボイスを使っています。

 R&Bシンガーの殆どは、教会でゴスペル歌っていた時に、どれかのパートの発声法を身に付けています。 

 ヒップホップ/ラップにおいても、子供時代にゴスペル経験のあるラッパーも多いですので、基本は同じです。

喉声 ミックスボイスは明治維新の後にクラシック音楽の普及と共に日本に入って来て決して新しい発声法ではないが、日本でポップカルチャーが炸裂した1980年代に喉声で歌うポップシンガーが増えて、一時期J-Popでミックスボイスはあまり使われなくなり、今ではミックスボイスは新しい発声法だと勘違いされている。喉声は素人の声、ミックスボイスがプロの声だと言っても過言ではない。

日本人のラッパーも喉声の場合が多い。

日本人の声は外国人に比べ喉声が強く、まずは、濁りや、かすれの無い、ミックスボイスをマスターする事が最優先。

ネイゾル 元は黒人シンガーが使う鼻を使った発声法で、3種類あり、今では世界中のポップミュージックで普及している。

注意)ネイゾルは今は無きTriple M music art Classの旧ホームページで、それまでは日本ではナーサルというカタカナ表記だったが、2000年代にNaoya Moroが英語に近い発音のネイゾルというカタカナの日本語表記にした。

ネイゾル

アリシア・キーズ

 このアリシア・キーズのPVは、冬に外で歌っていますので息が白く、アリシアが歌っている時に口からも息は出ていますが、鼻からも息が出ているのが解ります。これがネイゾルです。

 アリシア・キーズは北部のニューヨーク産まれのR&Bシンガーです。動画は2003年の曲です。

シャウト(トランペット) 3種類のネイゾルの一つ。主にR&Bシンガーとゴスペルシンガーが使う。シャウトは文字通りがなる様な声。しかし別名トランペットと名付けた様に、ジャズではシャウトと同じ原理の発声法で、トランペットの様な声色で、ジャジーな声作りに多用される。またヒップホップ/ラップでもシャウトと同じ原理の発声法で、ニッキー・ミナージュの様に舐めきった様な声作りの時に使われる。日本人の場合は声帯でシャウトするシンガーも多いが、声を潰すので避けた方が良い。

シャウト

ミスティカル

Mo's "MOZ" Mo

 動画はシャウトを多用してラップをしているミスティカルの2000年の曲と、私がシャウトでフックとブリッジで歌っている2021年の音源ですが、シャウトでラップはしていません。

 ラッパーでは、ダーティ・サウスのそのミスティカルが、シャウトを使う数少ないラッパーの一人です。

 当時はダーティ・サウスはニューオリンズのヒップホップを指し、1990年代中盤から登場しました。

 ミスティカルは南部のルイジアナ州ニューオリンズ産まれのダーティ・サウスのラッパーです。

 一方で、ジャズではシャウトと同じ原理の発声法のトランペットも同様にもっと昔から使われていました。

 シャウト(トランペット)と表記していますが、シャウトとトランペットは同じ原理の発声法で似た出し方ですが、正確には違う発声法です。

トランペット

ニッキー・ミナージュ

Naoya Moro

  動画はトランペットでラップをしているニッキー・ミナージュとドレイクの2010年の曲と、私がニッキーの声に影響を受けてトランペットでラップをしている2015年の音源です。

 ニッキー・ミナージュもドレイクもトランペットを使っているのが分かりやすいです。

 ニッキー・ミナージュはカリブ産まれで、ニューヨーク育ちの東海岸のヒップホップアーティストです。

 ドレイクはカナダ産まれのラッパーです。

 ラッパーでは、ダーティ・サウスのミスティカルの様にシャウトするラッパーは特殊です。ラップでは主にトランペットが使われます。

 1990年代中盤くらいからトランペットを使ったラッパーも多く、特に2010年にニッキー・ミナージュがデビューした後に登場した最近のラッパーは、男女問わずにトランペットを使っている場合が多いです。ミーゴスなどが例に挙げられます。

 ニッキー・ミナージュは2007年から1年毎に1本、合計3本のミックステープをリリースしていて、ビルボードチャートにも入り、2010年のデビュー前から既に話題になり有名でした。

 その影響か、最近のR&Bシンガーもシャウトよりもトランペットを使うシンガーが多いです。

 ラッパーでのトランペットのパイオニアには、1990年代中盤にデビューしたリル・キムやフォクシー・ブラウンなどが挙げられ、昔は女性ラッパーが好む発声法でした。トランペットを使う男性ラッパーのパイオニアには、2000年代にアルバムデビューをした50セントなどが挙げられます。補足として、50セントは1999年にシングルデビューをしていました。

 リル・キム、フォクシー・ブラウン、50セントはニューヨーク産まれの東海岸のラッパーです。

 現代の男性ラッパーのトランペットの使い方はドレイクやミーゴスなどの影響を感じます。

 しかし本当に最近の男性ラッパーとなると、やはりリル・ナズ・Xのトランペットの使い方に影響を受けているラッパーが多いと言えるでしょう。

 そして最も強烈なトランペットを使うラッパーとしては、主に2000年代に活躍をしたジャ・ルールが挙げられます。

 もっと掘り下げてトランペットを使ったラッパーのルーツを辿ると、どちらも1983年にデビューしたToo Short、アイス-Tなどの西海岸で活躍したラッパーに辿り着きます。どちらも男性ラッパーです。

 またニューヨークでも1989年のニュースクールの誕生の時代から、トランペットを使うラッパーが多く登場しました。

 しかし、今のラッパーのトランペットの使い方に似ているのは、やはりリル・キムやフォクシー・ブラウン、50セントなどのラッパーですが、男性ラッパーの場合はアイス-Tのトランペットの使い方がルーツと言えます。

 フォクシー・ブラウンと50セントは大ざっぱにニューヨーク産まれの東海岸のラッパーと書きましたが、正確には、

 フォクシー・ブラウンはニューヨークのブルックリン産まれの東海岸のラッパーです。動画は1998年の曲です。

 50セントはニューヨークのクイーンズ産まれの東海岸のラッパーです。動画は2003年の曲です。

フォクシー・ブラウン

50セント

ウィスパーボイス(ストリングス) 3種類のネイゾルの一つ。シャウトと同様に声帯でウィスパーボイスを出す事も可能で、文字通り囁く様な声作りから、別名ストリングスと名付けた様にオーケストラのストリングス(弦楽器)の様な声色で、大きな声でのハスキーな声作りも出来る。ウィスパーボイスはシャウトとは違い、声帯で発声しても喉を痛めないが、黒人ラッパーはネイゾルのウィスパーボイスを使う。

ウィスパーボイス

ウータン・クラン

Mo's "MOZ" Mo

 動画はウィスパーを使っているのが分かりやすい、ウータン・クランのメソッド・マンの1993年の曲と、私がウィスパーを使ってフックと3コーラス目をラップしている2021年の音源です。

 ウータンクランはニューヨークのスタテンアイランド出身の東海岸のヒップホップグループです。

 ラッパーではハスキーな声のラッパーはウィスパーを使っています。バスタ・ライムスの声もハスキーですので、ウィスパーを使っています。またノートリアス・B.I.G.もウィスパーを使っています。もちろんノートリアス・B.I.G.の声はパワフルですので、次に紹介するクライングと組み合わせています。これはメソッド・マン、バスタ・ライムスも同様です。

 元リーダーズ・オブ・ザ・ニュースクールのバスタ・ライムスは、ウィスパーとクライングの他にも、トランペットも使い、色々な発声法を使いこなすラッパーです。

 もっと掘り下げてウィスパーを使ったラッパーのルーツを辿ると、1985年にブギ・ダウン・プロダクションズのメンバーとしてデビューしたKRS・ワンなどの東海岸で活躍したラッパーに辿り着きます。

 バスタ・ライムスはニューヨーク産まれの東海岸のラッパーです。動画は1996年の曲です。

 ノートリアス・B.I.G.はニューヨークのブルックリン産まれの東海岸のラッパーです。動画は1994年の曲です。

バスタ・ライムス

ノートリアス・B.I.G.

ソウルフルボイス(クライング) 3種類のネイゾルの一つ。アリシア・キーズは主にクライングを使っているが、ハスキーな声はウィスパーボイスと組み合わせている。ソウルフルボイスは、R&BではボーイズIIメンのウォンヤ・モリスやアリシア・キーズなどのシンガーが得意としているが、別名クライングと名付けた様に泣き声自体はこもっているが、ラップで使うと透き通った非常にクリアな声色になる。

ミスティカルはシャウトとクライングを組み合わせている。

この様にクライングは、シャウトかウィスパーと組み合わせられて、どちらも重量感のあるパワフルな声に出来る。

よってネイゾルを習得する為には、まずはクライングで、濁りや、かすれの無い、クリアな声を出せる様にする事が第一優先。

クライングは明るいトーンから暗いトーンまで調整出来る為に、暗いトーンを使うと重量感のあるパワフルなラップになる。

逆に明るいトーンを使うとカン高いクリアな声のラップになり、イージー・Eなどが例に挙げられる。

しかし、ラッパーは比較的に暗いトーンのクライングを使った、重量感のあるパワフルな声を好む傾向があり、このページではそういったラッパーを取り上げている。

注意)トーンに関しては初心者向けに、明るいトーン、暗いトーン、で説明をし、分かりやすいラッパーを例に挙げているが、もちろん、中間のトーン、もある。

尚、ソウルフルボイスはクライングに当てはまる名称がない為に曖昧な表記にした。

クライング

フレッシュ・プリンス

Naoya Moro

 動画はクライングを使っている、今は俳優でウィル・スミスとして知られるフレッシュ・プリンスの1993年の曲と、私がクライングを使いオールドスクール風にラップをしている2001年の音源です(リードボーカルはAYAというシンガーです)。

 ウィル・スミスは当時、ヒップホップデュオのDJ・ジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンスのラップ担当でした。

 フレッシュ・プリンスと略していますが、正式名はザ・フレッシュ・プリンスです。

 ウィル・スミス(ザ・フレッシュ・プリンス)は、北部のペンシバニア州フィラデルフィア産まれですが、大まかには東海岸のラッパーです。

 ラッパーでは、声にパワーのあるラッパーはクライングを使っています。分かりやすいのはビッグ・ダディ・ケインです。

 ビッグ・ダディ・ケインはニューヨークのブルックリン産まれの東海岸のラッパーです。動画は1992年の曲です。

 当時ビッグ・ダディ・ケインの影響力は物凄く、ビッグ・ダディ・ケインがデビューしたのは1987年ですが、その後の、特に1990年代初頭にクライングを使っていたラッパーの殆どは、ビッグ・ダディ・ケインの影響を受けていました。

 また2パックもほぼ同様です。2パックは西海岸で活躍したラッパーですので、トランペットと組み合わせています。注意点はラップでトランペットを使うのは西海岸で発祥したスタイルですが、全ての西海岸のラッパーがトランペットを使っているという訳ではありません。2パックは産まれはニューヨークのマンハッタンで東海岸ですが、西海岸で活躍したラッパーです。動画は1996年の曲です。この曲はマキャベリ名義でリリースされました。

 ビッグ・ダディ・ケインの曲は、1992年の2パックが出演した『Juice』という映画のサントラ用の曲でした。この映画にはDJバトルのシーンがあり、DJブームになった映画です。よってPVの映画のシーンには2パックが写っています。

 もっと掘り下げてクライングを使ったラッパーのルーツを辿ると、オールドスクールのラッパー達や、Run-D.M.C.に代表されるミドルスクールのラッパー達に辿り着きます。初期のヒップホップではクライングが多用されていました。

 オールドスクールは1979年から、ミドルスクールは1984年から、主にニューヨークのラッパー達が活躍した東海岸のヒップホップです。

 ニュースクールは1989年から、オールドスクールとミドルスクールと同様に、主にニューヨークのラッパー達が活躍した東海岸のヒップホップですが、その時代にはニューヨークのラッパー達は、色々なネイゾルや次に紹介するマウスレゾナンスを使っていました。

ビッグ・ダディ・ケイン

2パック

注意)トランペット、ストリングス、クライングは指導する際に解りやすい様にNaoya Moroが2010年代に名付けた。

マウスレゾナンス 元はアフリカの発声法で、アメリカのR&Bシンガーやゴスペルシンガー、ジャマイカのレゲエシンガーも使う。もちろんラッパーも使う。ルーツのR&Bでは、まずはヒップホップのルーツであるファンクでマウスレゾナンスが流行り、そしてそのファンクから進化した、ヒップホップの直接のルーツであるディスコ・ミュージックでもマウスレゾナンスは流行ったが、1990年代初頭にディスコブームの終わりと共にマウスレゾナンスは一時期廃れた。

しかし2000年代にカリブ出身のリアーナがデビューして、当時はリアーナのカリブのマウスレゾナンスはアメリカでは異質な声質の存在だったが、2010年代後半、特に2020年代にアメリカでリアーナのフォロワー達によってマウスレゾナンスはR&Bでは復活した。尚、当時もレゲエが誕生したカリブではリアーナの声は異質ではなかった。

アメリカのマウスレゾナンスと、カリブのマウスレゾナンスは声色は異なるが、元はアフリカの発声法という共通点がある。

リアーナはネイゾルとマウスレゾナンスを組み合わせている。

しかしヒップホップ/ラップにおいては、ニュースクールが誕生した頃の1980年代の終わり頃から、マウスレゾナンス主体のラッパーが多く現れて、その後もネイゾルに比べると人数的には少ないながらにも、現代におけるまで人気のある発声法。

マウスレゾナンスもクライングと同様に明るいトーンから暗いトーンまで調整出来るが、ラッパーはクライングとは逆に明るいトーンのマウスレゾナンスを使う事を好む傾向がある。

注意)トーンに関しては初心者向けに、明るいトーン、暗いトーン、で説明をし、分かりやすいラッパーを例に挙げているが、もちろん、中間のトーン、もある。

マウスレゾナンス

ケンドリック・ラマー

Mo's "MOZ" Mo

 動画はマウスレゾナンスを得意とするケンドリック・ラマーの2024年の曲と、私がレゲエ風のマウスレゾナンスをフックで使っている2021年の音源です。

 ケンドリック・ラマーはカリフォルニア州コンプトン産まれの西海岸のラッパーです。

 ラッパーはネイゾル主体のラッパーが多いながらに、マウスレゾナンスを主体としたラッパーも多いです。

 マウスレゾナンス主体のラッパーには、Qティップ、スヌープ・ドッグ、ディディことパフ・ダディが挙げれます。

 動画で貼ったどのラッパーもマウスレゾナンスを使っているのが分かりやすいですが、一番分かりやすいのはQティップかもしれません。Qティップは元ア・トライブ・コールド・クエストのラッパーであり、ニュースクールを代表するラッパーの一人です。

 前出のバスタ・ライムスもニュースクールを代表するラッパーの一人ですが、奇才であり型にはまっていません。

 そしてリル・ナズ・Xもリアーナと同様にマウスレゾナンスを使いますが、二人ともネイゾルのトランペットと組み合わせています。

 もっと掘り下げてマウスレゾナンスを使ったラッパーのルーツを辿ると、1988年にデビューしたスリック・リックなどの東海岸で活躍したラッパーに辿り着きます。

 スヌープ・ドッグはカリフォルニア州ロング・ビーチ産まれの西海岸のラッパーです。動画は1993年のデビュー曲です。当時は、スヌープ・ドギー・ドッグというMCネームでした。

 Qティップはニューヨークのマンハッタン産まれの東海岸のラッパーです。動画は1999年の曲です。

スヌープ・ドッグ

Qティップ

更なるルーツ

 下の音源は東アフリカのケニアのマサイ族が、マウスレゾナンスで歌っている伝統音楽です。

 聴いて分かる様にアフリカのマウスレゾナンスには、クリアな声と、おじさんやおばさんの様なダミ声の2種類があります。

 これはアメリカのマウスレゾナンスも同様です。

 アメリカの黒人のルーツは主にナイジェリアなどの西アフリカにありますが、西アフリカの音楽はジャンベなどの太鼓を主体とした音楽ですので、あえて東アフリカのマサイ族の歌唱を例に挙げています。

 1960年代からアメリカの黒人達は、自分達の文化も含むルーツと黒人の力を示す言語として、マサイ族も話すスワヒリ語を学ぶという教育が普及しましたので、マサイ族の歌唱を例に挙げたのは、アメリカの教育的にも的を得ていると思います。

注意)マウスレゾナンスは今は無きTriple M music art Classの旧ホームページで、2000年代にNaoya Moroが英語の名称から、カタカナの日本語表記にした。

アフリカのマウスレゾナンス

マサイ族

これまでは、発声そのものの種類を紹介してきましたが、ここからは発声の際に使う基礎テクニックの紹介です

サポート 歌う時に横腹の筋肉を使うテクニック。サポートを使うことで歌い出しのインパクトが増し、アクセントも強調される。特にハモりの出だしにはサポートを使うとハウーンという様な、完全にハモった時のみに出る特有の共鳴した音が鳴る。解りやすく言えばピアノのタッチを歌で表現する様なテクニックで、マスターする事で歌が際立ち、プロ的な歌唱になる。簡単に説明をするとサポートを使わないのは喋り声、サポートを使ったのが歌声。

注意)サポートは英語で横腹の筋肉のサポートマッスルを使うという意味の略で、サポートは今は無きTriple M music art Classの旧ホームページで、2000年代にNaoya Moroが英語の名称からカタカナの日本語表記にした。注意点は、文字通り解説するとサポートマッスルの略という意味のサポートという名称だが、実際は横隔膜が下がる事で横腹が出っ張るテクニックで、横腹のサポートマッスルは使わない。

ラッパーも出だしや、アクセントにサポートを使います。

これは初心者でも必須な基礎テクニックです。

ベルティングボイス 元はイタリアの発声法で、地声で高い音域が出せるクラシックのベルカント。主にオペラ歌手やゴスペルシンガーが使うテクニックだが、ポップミュージックでもよく使われる。殆どの熱唱系R&Bシンガーはゴスペル歌唱を用いて、高い音域はファルセットはあまり使わずに、ミックスボイスとベルティングを組み合わせている。

解りやすく「地声で高い音域が出せる」と書いたが、R&Bやゴスペル、ヒップホップでは、いわゆる地声は使わない為に、正確には裏声ではなく、ミックスボイスで高い音域が出せるという意味。

注意)ベルティングボイスとベルトボイスは全く同じテクニック。ベルカントとベルティングもほぼ同様のテクニック。ポップミュージックでベルカントを使ったのがベルティングだと言っても間違いではない。

ラッパーも声を張り上げる時は使います。

基礎テクニックに入れましたが、中級、上級テクニックでもあります。

 色々な発声法を紹介しましたが、ミックスボイスの説明の際に書いた様に、基本は喉はミックスボイスで、それにネイゾルやマウスレゾナンスを加えて黒人のラッパーは声作りをしています。

 R&Bの発声法は、「黒人の発声法(R&B編)」をご覧ください。

 しかし、このページを読んで解る様に、ラップ、R&Bボーカルをマスターするには、ブラックミュージックの歴史を知らなければ、実際にラップをしたり、曲を歌う際の、各発声法と各テクニックの使い方はマスター出来ません。

 仮に発声法やテクニックをマスターしても、歴史を知らなければ、英語でラップが出来るという次元で止まってしまいます。そして本物のヒップホッパーにはなれません。

 この「黒人の発声法」のページでは、主にそれぞれの発声法のルーツを辿っていますが、「ブラックミュージックの歴史」のページでは、ヒップホップの誕生から、現在のトラップ・ソウルやオルタナティブR&Bに至るまで、時代とジャンルごとに、PVやライブ動画と説明文で詳しく紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。

ブラックミュージック研究所が主催する、オンライン音楽教室のTriple M music art Classでは、

Mo's "MOZ" MoことNaoya Moroの指導によって、このページに書いてある全ての発声法を学んで頂く事が出来ます。

ビデオ通話でのオンラインレッスンですので全国どこでも受講可能です(プライベートレッスン)。

詳しくは「レッスン」のページをご覧ください。

Naoya Moroの歌とラップ、Naoya Moroが指導したシンガーとラッパーの歌とラップも聴けます。

またオンラインレッスンの参考資料動画も貼っていますので、ぜひご視聴ください。

オンラインレッスンのレッスン風景画像

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