ヒップホップ世代のR&Bシンガー達のシャウト
R&B/ソウルミュージックにおいて、シャウトは1960年代、1970年代は主流な発声法だったのですが、1970年のニュー・ソウルの誕生後は、ウィスパーとクライングを組み合わせるという歌唱法が主流となり、シャウトはあまり使われなくなりましたが、1970年代だとまだシャウターはいたのです。マーヴィン・ゲイがその一人だったと言えば納得出来るでしょう。本格的にシャウターが減ったのは1980年代の事です。
まずヒップホップ世代というのは、主に1992年にヒップホップ・ソウルが誕生し、それ以降にデビューしたシンガーの事を指しますが、それ以前にデビューしていても、ヒップホップの要素が入った曲を歌っていたシンガーはヒップホップ世代ですので、例外的なシンガーもいます。
最初に紹介するのは、1995年に後にネオ・ソウルと呼ばれる様になった、ニュー・クラシック・ソウルのアーティストとしてデビューしたR&BグループのSoloです。
1990年代には、1950年代、1960年代、1970年代のソウルミュージックは、クラシック・ソウルと呼ばれていました。
そのクラシック・ソウルに、ヒップホップの要素を取り入れたのが、ニュー・クラシック・ソウルです。
Soloはサム・クックとヒップホップを組み合わせました。
イントロでサム・クックの曲を歌っているのですが、見事な、がなり声のネイゾルのシャウトです。
イントロでの歌い方はサム・クックに似ていますが、声はオーティス・レディングに似ています。
そして本編では主に、ハスキーな声のネイゾルのシャウトと、パワフルな声のネイゾルのクラインを組み合わせていますが、サビのアドリブなどではシャウトを多用しています。
ウィスパーとクライングを組み合わせる歌唱法は、ニュー・ソウルを作った、ダニー・ハサウェイが作った歌唱法です。
またシンガーによっては、元はアフリカの発声法のマウスレゾナンスを使っています。
Soloは北部のニューヨーク出身のR&Bグループです。
動画は1995年のデビュー曲です。
Solo
前述の様にニュー・ソウル以降はシャウターはまだいたのですが、特に1980年代からはシャウターは減りました。よってまたK-Ciの登場となります。
Jodeciの解散後に、JodeciのメンバーだったK-CiとJoJoが組んだR&Bデュオです。
Jodeciは1991年にデビューしましたが、R&Bにヒップホップの要素を取りれたニュージャックスウィングのアーティストであり、その後ヒップホップ・ソウルのトップグループでしたので、例外的にヒップホップ世代のアーティストです。
と言うよりは、むしろヒップホップ世代を代表するアーティストです。
K-CiとJoJoは実の兄弟です。
最初に歌っているスキンヘッドのシンガーがJoJoです。
JoJoは、究極に明るいトーンの、パワフルな声のネイゾルのクライングと、元はアフリカの発声法のマウスレゾナンスを組み合わせています。
JoJoのクライングとマウスレゾナンスの組み合わせは、スティーヴィー・ワンダーと同じなのですが、マウスレゾナンスの方が強いスティーヴィー・ワンダーに対して、JoJoはネイゾルの方が強いので、全然違う声に聞こえるのです。
もう一人の、細くて背が小さく、大サビをソロで歌っているシンガーがK-Ciです。
K-Ciは、がなり声のネイゾルのシャウトと、パワフルな声のネイゾルのクライングを組み合わせています。
K-Ci & JoJoは南部のノース・カロライナ州出身のR&Bデュオです。
動画は1999年の曲です。
K-Ci & JoJo
そして、21世紀に入り、ビヨンセです。
ビヨンセは、元はアフリカの発声法のマウスレゾナンス主体のシンガーなのですが、あらゆる種類のネイゾルと組み合わせるテクニシャンです。ビヨンセはこの曲では、基本はそのマウスレゾナンスに、パワフルな声のネイゾルのクライングと組み合わせていて、後半の盛り上がりでは、がなり声のネイゾルのシャウトを多用しています。
シャウターが減ったと言っても、現代のR&Bにおいてもシャウトは必須な発声法だという事です。
ビヨンセはテキサス州ヒューストン産まれです。
動画は2007年の曲です。
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