ニュー・ソウルの革命的なクライングと、その後のシンガー達

 ニュー・ソウルはダニー・ハサウェイとカーティス・メイフィールド、そしてこのロバータ・フラックによって作られた音楽です。

 ロバータ・フラックはダニー・ハサウェイとの共演したアルバムもありますので、ニュー・ソウルを作ったアーティストだという事が解るでしょう。

 ロバータ・フラックは1970年にニュー・ソウルが誕生する前の1969年にデビューし、既にニュー・ソウルを確立していましたのでニュー・ソウルの先駆者と言えます。

 ロバータ・フラックは、パワフルな声のネイゾルのクライングを主体としたシンガーです。

 しかし決してパワフルな声ではありません。ロバータ・フラックの場合は文字通り泣き声に近いクライングの使い方です。

 ネイゾルだけには限らず、泣き声自体は元々こもっています。

 その泣き声のこもったネイゾルのクライングを使い、この様に落ち着いた大人な感じのボーカルになっています。

 ロバータ・フラックは南部のノース・カロライナ州産まれです。

 音源は1973年の大ヒット曲です。


ロバータ・フラック

 そのロバータ・フラックの延長線上のシンガーが、このブレンダ・ラッセルです。

 ブレンダ・ラッセルは黒人シンガーにしては珍しく、教会でゴスペル経験が無いという事でも知られています。

 しかし見事な、パワフルな声のネイゾルのクライングです。

 ロバータ・フラック同様に、いわゆるパワフルな声ではなく、泣き声のこもったクライングを使った歌声です。

 アメリカの黒人の場合、喋り声からしてクライングの人が多いですが、ゴスペル経験が無いのに、この様なクライングで歌えるという事は、それを証明しています。

 ブレンダ・ラッセルは北部のニューヨーク産まれです。

 因みにニューヨーク訛りで有名なのは、ニューヨークは寒い為に声が鼻にかかり、ニューヨークと言えなくて、ヌーヨークと発音するという事です。

 ブレンダ・ラッセルがニューヨーカーだから、ゴスペル経験が無くてもネイゾルのクライングが出来るのかは不明です。

 音源は1983年の曲です。


ブレンダ・ラッセル

 同様にロバータ・フラックの延長線上のシンガーが、このランディ・クロフォードです。

 ランディ・クロフォードはR&Bシンガーでもありますが、ジャズシンガーです。

 フュージョンシンガーと呼んだ方が分かり易いかもしれませんが、そういう呼び方はありません。

 1980年代はフュージョンが流行った影響で、ジャズを歌わないジャズシンガーが多く登場しました。

 ランディ・クロフォードもその一人です。

 ランディ・クロフォードの発声法はロバータ・フラックに似ていますが、ロバータ・フラック同様に、いわゆるパワフルな声ではありませんので、パワフルな声のネイゾルのクライングを泣き声に近い声で使っていますが、こもってはいなく透き通った声です。そして元はアフリカの発声法のマウスレゾナンスを組み合わせ、より都会的に洗練された歌声です。

 この曲は日本のテレビドラマで使われましたので、知っている方も多いでしょう。

 ランディ・クロフォードは南部のジョージア州産まれです。

 音源は1986年の曲です。


ランディ・クロフォード

 さて、そしてロバータ・フラックの声から影響を受けた、超大物シンガーの登場です。

 それは、1984年にテディ・ペンダーグラスとのデュエットでデビューし、翌年の1985年にソロデビューをした歌姫、ホイットニー・ヒューストンです。

 ホイットニー・ヒューストンは、パワフルな声のネイゾルのクライングが主体のシンガーですが、ランディ・クロフォードと同様に澄んだクリアな歌声です。

 ホイットニー・ヒューストンの特徴には、基本はクライングですが、部分的に、元はアフリカの発声法のマウスレゾナンスを使うところも挙げられます。

 デビュー当時の曲は、ブラックミュージック研究所のサイトの「ブラックミュージックの歴史」のページに貼ってあり、最大のヒット曲は当サイトの「黒人の発声法(R&B編)」のベルティングの紹介で貼ってありますので、あえてレアな曲を貼ります。

 この曲は1996年のゴスペルをテーマにした映画『天使の贈りもの』のワンシーンで歌われた、知る人ぞ知る隠れた名曲、そして鳥肌ものの名歌唱です。

 映画はゴスペルをテーマにしていましたが、この曲はR&Bのバラード調のラブソングです。

 ホイットニーはニューヨークに近い北部のニュージャージー州産まれです。

 動画は1996年の曲です。


ホイットニー・ヒューストン

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