ドゥーワップにおけるクライング

 ソウルミュージックの直接のルーツである音楽は、1950年代から1960年代初頭に北部の黒人のティーンの間で流行ったドゥーワップです。

 当時はロックンロールと呼ばれていました。しかし聴いて分かるよう様にポップな音楽であり、ロックンロールではなかった為に、後にドゥーワップと呼ばれる様になりました。

 ベン・E・キングは元はドゥーワップシンガーで、ソウルミュージックの誕生と共にソウルシンガーに転向したという事でも解る様に、ドゥーワップはソウルミュージックの直接のルーツであった訳です。しかし、ソウルミュージックが流行った事で、ドゥーワップブームは終わりました。

 ドゥーワップはソウルミュージックのルーツだけはなく、ポップ・ミュージックのルーツです。意外かもしれませんが、それまでは、こういうポップな音楽は無かったのです。

 さて、まずはフランキー・ライモン&ザ・ティーンエイジャーズです。

 リードシンガーのフランキー・ライモンは、パワフルな声のネイゾルのクライングを使っていますが、まだ声変わりがしていなかったので、明るいトーンのクライングです。まだ子供でしたので、大人の様な重量感のあるクライングではありませんが、クライングはサックスの様なクリアな声も出せますので、そっちの方です。

 ジャケットで一番背の小さい少年がフランキー・ライモンです。

 フランキー・ライモン&ザ・ティーンエイジャーズは当時、アイドル的な人気があり、男性アイドルグループの元祖と呼ばれています。

 ドゥーワップグループは2種類あり、スウィングジャズのコーラスグループをルーツとするグループと、ゴスペル・カルテットをルーツにするグループです。

 フランキー・ライモン&ザ・ティーンエイジャーズは、スウィングジャズのコーラスグループをルーツとするグループです。

 フランキー・ライモン&ザ・ティーンエイジャーズは北部のニューヨークのハーレム出身のドゥーワップグループです。

 音源は1956年の曲です。


ザ・ティーンエイジャーズ

 そして次は女性ドゥーワップグループのロネッツです。

 ザ・ロネッツはフランキー・ライモン&ザ・ティーンエイジャーズに触発されて結成されたグループです。

 ザ・ロネッツは女性アイドルグループの元祖と呼ばれていますが、本格的な歌い方です。

 リードシンガーのヴェロニカ・ベネットは、パワフルな声のネイゾルのクライングを使っていて、元祖女性アイドルグループとは思えない、やや暗いトーンのクライングでのパワフルな歌声です。しかしゴスペルシンガーやソウルシンガーと比べると、いわゆるパワフルな声ではありませんが、ポップ・ミュージックとして考えれば、ソウルフルでパワーのある歌声です。

 そして少しこもった感じの声ですが、これはネイゾルだけには限らず、泣き声自体は元々こもっています。そのこもったままのネイゾルのクライングを、いかにも泣いている感じではなく、洗練されたポップな感じで使っています。

 ザ・ロネッツはゴスペル・カルテットをルーツにするグループです。

 よって、なぜ女性アイドルグループの元祖なのにパワフルな歌声であるのかが解ると思います。

 ザ・ロネッツは北部のニューヨーク出身のドゥーワップグループです。

 音源は1963年の曲です。


ザ・ロネッツ

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