ファンクとディスコ・ミュージックで流行ったマウスレゾナンス
さてファンクは1960年代に誕生した音楽ですが、1970年代が全盛期でした。
まずはファンクの王様、ジェームス・ブラウンです。そしてファンクを作ったのは、そのジェームス・ブラウンです。
マウスレゾナンスのルーツを掘り下げると、ソウルミュージックやファンクが誕生する前は、ブルースで流行っていた発声法です。
ファンクはアメリカの黒人達が、よりルーツのアフリカ的なサウンドと歌い方を追求した、グルーヴィーで、いかにも黒人らしい音楽です。
ジェームス・ブラウンは元はソウルシンガーで、1956年にデビューし、その圧倒的な歌唱力を武器にソウルの王様と呼ばれていたのでのですが、1960年からファンクの原型のソウルミュージックを作る様になり、1965年にファンクが誕生したと言えます。そしてジェームス・ブラウンはファンクの王様と呼ばれる様になりました。
ジェームス・ブラウンはソウルシンガー時代から、元はアフリカの発声法のマウスレゾナンスが主体でしたが、ファンクを作り、その得意なマウスレゾナンスを更に活かしました。
マウスレゾナンスが主体と書いたのは、マウスレゾナンス主体のシンガーは、若干、パワフルな声のネイゾルのクライングと組み合わせるからです。しかし、この曲はそう単純ではなく、マウスレゾナンス主体のフレーズと、クライング主体のフレーズがあり、どちらにしても、マウスレゾナンスとクライングの組み合わせではありますが、高度な歌唱法です。
ジェームス・ブラウンはこの曲では、マウスレゾナンスは全体的には明るいトーンを使っていますが、暗いトーンのフレーズもあります。そして、地声と裏声をミックスしたミックスボイスは、かなりファルセット寄りです。そしてクライングのトーンは、明るいトーンのフレーズから暗いトーンのフレーズまで使い分けています。
後半の盛り上がりでは、これはジェームス・ブラウンだけに限った事ではないのですが、ファルセット寄りのシンガーの特徴として、マウスレゾナンスのシャウトも使っています。
まずはソウルシンガー時代の圧倒的な歌唱力です。
ジェームス・ブラウンは南部のサウス・カロライナ州の産まれです。
動画の曲は1963年の曲です。
ソウルの王様、ジェームス・ブラウン
そしてジェームス・ブラウンがファンクを完成させた曲がこの有名曲です。
この曲でもジェームス・ブラウンは、元はアフリカの発声法のマウスレゾナンス主体で歌っていますので、若干、パワフルな声のネイゾルのクライングと組み合わせています。
動画は1970年の曲です。
ファンクの王様、ジェームス・ブラウン
そして1980年代はディスコ・ミュージック全盛期だったのですが、1970年代にデビューしていたリック・ジェームスが、1980年代もファンクを貫き、強烈なファンクナンバーをリリースしました。
リック・ジェームスはかなりなテクニシャンで、この曲では、元はアフリカの発声法のマウスレゾナンス主体ですが、他にも色々なネイゾルを使いこなすシンガーです。マウスレゾナンス主体という事は、若干、パワフルな声のネイゾルのクライングと組み合わせるのですが、リック・ジェームスはこの曲で、若干ではなく、かなり強くパワフルなクライングをマウスレゾナンスと組み合わせています。
尚、リック・ジェームスはこの曲では、明るいトーンのマウスレゾナンスを使い、クライングのトーンは逆に暗めで、泣き声に近い声です。マウスレゾナンスとクライングを組み合わせたり、使い分けたりしている感じです。
この曲では"yow"というフレーズが、ファンクで流行ったマウスレゾナンスを象徴しています。Yowはスラングでは、驚きを表す意味があります。
リック・ジェームスは北部のニューヨーク州産まれです。
動画は1981年の曲です。
リック・ジェームス
リック・ジェームスの本当の歌唱力を知るにはこの曲です。当時流行りだった、ハスキーな声のネイゾルのウィスバーボイスと、パワフルな声のネイゾルのクライングを組み合わせています。
しかし、クライングが強烈で、元はダニー・ハサウェイが作った歌唱法ですが、ダニー・ハサウェイと同時期に活躍し、元はシャウターで、ウィスパーとクライングを組み合わせる様になったテディ・ペンダーグラスや、後のルーサー・ヴァンドロス、ジェームス・イングラムを連想させられる、パワフルでソウルフルな声と歌い方です。
動画は1978年の曲です。
ソウル・バラードを歌うリック・ジェームス
それでは最後はファンクから進化したディスコ・ミュージックにおけるマウスレゾナンスです。
それはアース・ウィンド・アンド・ファイアーのディスコミュージックを代表する、この有名曲です。
リードシンガーのモーリス・ホワイトは、元はアフリカの発声法のマウスレゾナンス主体のシンガーですが、やや暗いトーンのマウスレゾナンスを使っています。もちろんマウスレゾナンス主体ですので、若干、パワフルな声のネイゾルのクライングと組み合わせています。
そしてマウスレゾナンスにはクリアな声と、おじさんやおばさんの様なダミ声の2種類があります。今まで紹介したシンガーはクリアな声のマウスレゾナンスを使っていますが、モーリス・ホワイトの声はダミ声ではありませんが、後者のおじさんの様な声のマウスレゾナンスを使っています。
この曲でも"yow"というフレーズが、ディスコ・ミュージックでも流行ったファンキーなマウスレゾナンスを象徴しています。Yowにはスラングでは、驚きを表す意味の他に、誰かの注意を引くという意味もありますので、この曲の場合は後者です。
アース・ウィンド・アンド・ファイアーはディスコ・バンドとして知られていますが、北部のイリノイ州シカゴのファンク・バンドです。
動画は1978年の曲です。
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