ソウルミュージックのシャウトのパイオニア

 ソウルミュージックのシャウトのパイオニアは、その名もドリフターズという名の、ドゥーワップグループのリードシンガーだった、ベン・E・キングです。

 ドリフターズというと日本のドリフを連想される方も多いと思いますが、アメリカのドリフターズは1953年にデビューしています。ベン・E・キングは1958年にドリフターズに加入しました。

 日本のドリフも1956年に、最初はロカビリーバンドとして結成され、ロックンロールバンドになり、コミックバンドになり、コントグループになりました。

 どちらも正式名は、ザ・ドリフターズですので、日本のドリフターズはドリフと書きました。

 ベン・E・キングは南部のノース・カロライナ州産まれで、北部のニューヨークのハーレム育ちです。

 ドリフターズは北部のニューヨーク出身のドゥーワップグループです。

 音源は1959年の曲です。がなり声のネイゾルのシャウトを使い、この頃からシャウターでした。全体に明るい声なのは、元はアフリカの発声法のマウスレゾナンスとシャウトを組み合わせているからです。


ドリフターズ

 ベン・E・キングはドリフターズで、ビルボードで1位の大ヒット曲も歌ったのですが、1960年にドリフターズを脱退して、その後ソロシンガーに転向しました。

 そして1961年に名曲"Stand By Me"をリリースし、大ヒットしました。

 この曲でベン・E・キングは、がなる声のネイゾルのシャウトをサビや、またサビ以外でも部分的に使っていますが、基本はパワフルな声のネイゾルのクライングを使っています。しかし、シャウトを使って歌っている部分以外は、いわゆるパワフルな声ではありませんが、クライングはサックスの様なクリアな声も出せますので、そっちの方を使っています。また元はアフリカの発声方のマウスレゾナンスもアクセント的に使っています。

 音源はその1961年の"Stand By Me"です。


ベン・E・キング

 そして、ベン・E・キングを語る上で、この曲も欠かせません。

 "Stand By Me"はソウルの曲ですが、ベン・E・キングは元はドゥーワップシンガーだった為に、歌い方も曲もドゥーワップに近かったですが、徐々にソウルミュージックに傾倒していきます。

 それが、この曲で、サビでは別人と思える程に、太くダークな声で、がなる声のネイゾルのシャウトを使って歌っています。こういう声は、パワフルな声のネイゾルのクライングと組み合わせると出せます。クライングは明るいトーンから暗いトーンまで調整出来ますので、暗いトーンのクライングを使っています。

 サビ以外のパートは暗いトーンのクライングのみで歌っています。大サビは、地声で高い音域が出せるベルティングを使い、高い音程を太くダークな声で歌っています。

 タイトルとサビで"What Is Soul?"、つまり「ソウルって何?」と問いかけているのですが、歌を聴いて解る事はパワフルだという事です。

 1970年代にダニー・ハサウェイを筆頭に、テディ・ペンダーグラス、そして1980年代にはルーサー・ヴァンドロス、ジェームス・イングラムというパワフルな歌唱のシンガーが登場しましたが、この曲でのベン・E・キングの歌唱は、そういったパワフルな熱唱系のR&Bシンガー達の歌い方の先駆け的な歌唱だと言えます。

 音源は1966年の曲です。


本格的にソウルを歌うベン・E・キング

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